展覧会

「明治大正以降の日本美術に於ける優美な技」
写真左:薩摩焼花瓶 錦光山作 明治時代 「明治モダン」展出品作品
写真右:七宝花瓶 服部忠三郎作 (1939年没) 1905年頃(明治時代) 高さ:22.6cm
主催:オリエンタル・トレジャー・ボックス & オリエンテーションズ・ギャラリー
日本ギャラリーは、「ニューヨーク・アジア・ウィーク2025」において、オリエンタル・トレジャー・ボックスとオリエンテーションズ・ギャラリーによる12回目のコラボレーション展「明治・大正以降の日本美術に於ける優美な技」を開催いたします。
本展では、七宝、金工、陶芸、漆芸、絵画、籠細工、彫刻、染織など、明治・大正以降の日本美術を代表する多彩な工芸作品が一堂に会します。帝室技芸員や人間国宝といった、卓越した技を持つ匠たちによって生み出された珠玉の作品は、まさに美と技巧の極致です。
安藤重兵衛(七宝)、平野吉兵衛(金工)、本多與三郎(金工)、服部忠三郎(漆芸)、津田信夫(金工)、森村酉三(金工)、錦光山 宗兵衛(陶芸)などの明治から昭和初期にかけて日本の工芸界を牽引した名工たちの作品を間近でご覧いただけます。彼らは高度な技術と芸術性によって、日本の伝統工芸を新たな高みへと押し上げ、その作品は現在も国内外で高く評価されています。
昨年、アジア・ソサエティーを始め全米の三つの美術館で開催され話題を呼んだ「明治モダン」展。本展では、両ギャラリーが同展に提供した作品も特別展示いたします。日本の伝統工芸がどのように発展し、現代に受け継がれてきたのか。その軌跡を辿ることで、日本美術の奥深い魅力に触れていただけるでしょう。
時代を超えて輝き続ける日本の美を、ぜひご堪能ください。
■ブラッドリー・ベイリー博士講演会
本展のハイライトとして、ヒューストン美術館キュレーターのブラッドリー・ベイリー博士による講演会を開催いたします。
•日 時: 3月15日(土)午後2時~
•場 所: ローズルーム(日本クラブ2階)
•参加費: 無料
•申込先: gallery@nipponclub.org(定員に達し次第締切)
本講演では、本展で展示される作品を取り上げながら、明治・大正以降の日本美術における優美な技について、ベイリー博士が深く掘り下げて解説します。

【ブラッドリー・ベイリー博士略歴】
ベイリー博士は、ヒューストン美術館(MFAH)の初代ティン・ツォン&ウェイ・フォン・チャオ アジア美術キュレーター兼部門長を務める。日本美術を専門とし、明治(1868–1912)、大正(1912–1926)、昭和初期(1926–1989)の美術や、日本と西洋の美術交流について幅広く執筆・講演を行っている。
これまで、ミード美術館、イェール大学美術館、ニューヨークのリセッション・アート、アクランド美術館などで日系アメリカ人美術や現代美術の展覧会を企画。最近では、『None Whatsoever: Zen Paintings from the Gitter-Yelen Collection』(2023年)や『Meiji Modern: 50 Years of New Japan』(2024年)など、大規模な巡回展を手掛けた。
MFAHでは、日本画の重要作品やインドのパルピア・コレクションを含む多数の美術品を収蔵に導き、韓国美術ギャラリーの再編・再展示も指揮した。
イェール大学で美術史の学士、修士、Ph.M.、博士号に加え、非営利経営と美術館運営を専門とするMBAを取得。『Meiji Modern: Fifty Years of New Japan』の展覧会図録に寄稿し、北斎や日清戦争版画についての論文も執筆している。
時代を超えて息づく日本の伝統美と、その進化を体感できる貴重な機会です。皆様のご来場を心よりお待ちしています。
写真左:七宝香炉 本多與三郎作 19世紀後半(明治時代) 高さ:25.4cm
写真右:アールデコ銅鷹置物 森村酉三(1897-1949)作 大正~昭和初期
会期 | 2025年3月13日(木)- 3月21日(金) |
---|---|
開催時間 | 10:00 am – 6:00 pm (月-金)、10:00 am – 5:00 pm (土)、日休 |
場所 | 日本ギャラリー(日本クラブ 7階) 145 West 57th Street, 7th Floor, New York, NY 10019 |
入館料 | 無料 |
詳細 |
これからの展覧会
ニッポン・コーヒーカップ物語 – アメリカ人がニッポンと呼んで愛したコーヒーカップ
会期 2025年3月28日(金)~4月24日(木)
日本クラブは、2025年3月28日(金)から4月24日(木)まで、企画展「ニッポン・コーヒーカップ物語-アメリカ人がニッポンと呼んで愛したコーヒーカップ」を開催いたします。本展では、明治から昭和にかけてアメリカへ輸出された約50点のコーヒーカップと数点のセットを展示します。
明治維新以降、日本は欧米への輸出を奨励し、有田、京都、瀬戸などの窯業地では洋食器の生産が盛んになりました。特にアメリカでは、日本の磁器は「Nippon」の名で親しまれました。これは、1890年のマッキンレー関税法によって原産地表示が義務付けられた際、多くの日本の磁器メーカーが1921年まで「Japan」ではなく「Nippon」と表記していたことに由来します。
本展では、当時の職人たちの技術やデザインの工夫、そしてアメリカの人々を魅了した背景に迫ります。コーヒーを飲んだことのない職人たちが、試行錯誤の末に生み出した美しいコーヒーカップ。その背景には、ニューヨークに渡り、現地で流行のデザインを調査した人々の努力がありました。彼らにとって、日本クラブは重要な交流拠点であり、心の拠り所でもありました。
1960年代には、アメリカの食器市場で日本の製品が7割以上のシェアを誇るなど、日本の技術とデザインは高く評価されました。特に、コーヒーの色とカップの絵柄を美しく見せる白磁の技術は、世界に誇るべき日本の宝です。
明治期の日本の輸出磁器、特に「オールドノリタケ」の美術的価値をいち早く見出したのは、ワシントン大学の陶芸家、ハワード・コトラー博士でした。1982年に開催された「ノリタケ・アール・デコ・ポーセリンズ」展は、多くの人々に日本の磁器の魅力を再認識させるきっかけとなりました。
写真左:香蘭社 桜図、明治、有田
写真右:オールド・ノリタケ イギリス向け アールデコ 芸者図、明治末ー大正(開始は明治41)、名古屋
<展示構成>
第1展示:黎明の時代―明治初期から大正へ
第2展示:アメリカンアールデコの再評価―オキュパイドジャパンまで
アメリカで愛された日本のコーヒーカップ。その魅力に迫る「ニッポン・コーヒーカップ物語」。会場では、美しいカップを通して、日米の文化交流の歴史をご覧ください。
◆ギャラリートーク
本展監修の井谷善惠博士とともに展示作品を鑑賞しながら、日本の磁器が19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ市場でどのように広まり、愛されたのか、その背景についてお話を伺います。
日 時 : 3月28日(土) 午後2時~
場 所 : 日本ギャラリー(日本クラブ7階)
参加費 : 無料
申込先 : gallery@nipponclub.org

井谷善恵博士は、近代輸出工芸史を専門とする研究者で、日本の磁器が海外市場でどのように発展したかを研究してきました。
関西学院大学大学院(美学)修士課程修了後、SOASロンドン大学大学院で近代輸出工芸史を学び、M.A.(Distinction)を取得。その後、オックスフォード大学大学院オリエント研究所で博士課程を修了し、オールド・ノリタケを含む近代輸出磁器に関する博士論文で2006年にD.Phil(哲学博士)を取得。2015年から2023年まで東京藝術大学グローバルサポートセンター特任教授を務め、現在は帝京大学客員教授、東京藝術大学非常勤講師。
また、日本コーヒー文化学会会長、現代手工芸作家協会会長、国際工芸交流代表理事などを務め、文化交流や工芸研究の分野で幅広く活躍しています。
会 期 : 2025年3月28日(金)- 4月24日(木)
場 所 : 日本ギャラリー (日本クラブ 7階)
145 West 57th Street, 7th Floor, New York, NY 10019
時 間 : 10:00 am – 6:00 pm (月-金) / 10:00 am – 5:00 pm (土) / 日休
入場無料