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展覧会

日本クラブ企画展
書く文化 ― 矢立、そして現代へ

スマートフォンやパソコンで、言葉を瞬時に記録できる時代。けれど、かつて人びとは、筆と墨を携えて旅をし、商いをし、日々の出来事や思いを書き留めていました。そのための小さな携帯筆記具が「矢立(やたて)」です。矢立は、筆と墨壺をひとつにまとめ、腰に提げて持ち歩いた道具です。江戸から明治にかけて、旅人や商人、文人たちの暮らしのなかで広く用いられました。実用の道具でありながら、金工の技や細やかな装飾が施された矢立には、持ち主の好みや暮らしぶり、そして小さな道具にまで心を配った人びとのこだわりが映し出されています。

本展では、新潟県・燕市産業史料館が所蔵する「丸山コレクション」の矢立を中心に、書家・鈴木猛利、製硯師・青柳貴史、ガラス造形アーティスト・生田目礼一の作品をあわせて紹介します。

道具が変われば、文字も変わる。そして、書く時間は、私たちの呼吸や心の速度までも変えていきます。
便利さが加速する現代に、手で「書く」ことは何を取り戻してくれるのでしょうか。矢立という小さな道具から、書く文化の過去と現在、そしてこれからを見つめます。

◆見どころの矢立

これを腰に下げ、旅先で筆を執った人がいました。小さな道具に、持ち主の好みや暮らしの気配がにじみます。

彩りの組紐
編み目を刻んだ墨壺に、紅白の組紐。誰が腰に下げていたのでしょうか。

金色の分離型
真鍮の地に唐草の意匠。旅先でこれを開き、何を書き留めたのでしょうか。

金の象嵌
墨壺は太鼓、柄は笛。金の象嵌がきらめきます。音楽好きの人が提げていたのでしょうか。

◆関連イベント

参加無料 ※ワークショップのみ材料費 $15(当日)がかかります。

●トーク&書のデモンストレーション&オープニングレセプション

「矢立と書 ― 道具から生まれる文字の世界」

講師:鈴木猛利
日時:6月25日(木)18:00〜19:30
参加:無料/事前申込制/会員とそのご家族を優先/先着順

本トークでは、書家・鈴木猛利氏が、矢立の構造や由来、実際の使い方を、写真を交えながら紹介します。あわせて、古くから書に欠かせない道具として大切にされてきた「文房四宝」―筆・墨・硯・紙―についてもお話しします。書は、ただ文字を記す行為ではありません。筆を持つ手の動き、墨の濃淡、紙の質感、そして呼吸のリズムが重なり合い、その時にしか生まれない文字の表情をつくります。

パソコンやスマートフォンで言葉を瞬時に打ち込める現代だからこそ、手で「書く」時間には、特別な意味があります。矢立と書の世界を通して、書くことの原点と今を見つめます。当日は、鈴木氏による書のデモンストレーションもお楽しみいただけます。

●ギャラリートーク

講師:鈴木猛利
日時:6月26日(金)17:00〜18:00
参加:無料/事前申込制/会員とそのご家族を優先/先着順

展示作品を前に、鈴木氏が矢立と書の魅力を解説します。丸山コレクションの矢立を中心に、道具としての機能、装飾に込められた工夫、そして現代の書へとつながる「書く」文化の広がりをご紹介します。

●ワークショップ

書は鏡 ― 小筆で名前を書き、向き合う時間

講師:鈴木猛利
日時:6月27日(土) ① 11:00〜12:30 ② 14:30〜16:00
参加:無料/材料費 $15(当日)/事前申込制/会員とそのご家族を優先/先着順

墨を擦り、小筆を手に取り、自分の名前を書く。書家・鈴木猛利氏の指導のもと、日本の書文化にふれながら、ご自身の名前を小筆で書くワークショップです。書は、ただ文字をきれいに書くことではありません。筆の運び、墨の濃淡、紙に残る線には、その時の呼吸や心の動きが自然に表れます。自分の名前を書くことは、自分自身と静かに向き合うことでもあります。はじめて筆を持つ方も歓迎します。日本語や書道の経験は必要ありません。完成した作品は、世界にひとつだけの「あなたの署名」としてお持ち帰りいただけます。

慌ただしい日常を少し離れ、墨の香りと筆の感触を通して、日本の書文化を味わうひとときをお楽しみください。

◆書と向き合う、現代の作り手


鈴木 猛利
書家。1984年、東京生まれ。「心正則筆正」の精神で、技法のみならず心の在り方を尊重する書を追求。ミラノ万博ほか世界各地で交流を重ねる。


青柳 貴史
製硯師。書道用具の老舗・宝研堂の四代目。石と向き合い、硯を彫り出す。


生田目 礼一
ガラス造形アーティスト。1980年、宮城県生まれ。ガラスで生命や植物を象り、環境や多様性をテーマに作品を展開。


主催:日本クラブ
協賛:J.C.C. Fund
協力:燕市産業史料館、宝研堂、TOP Factory 株式会社
監修:鈴木猛利
キュレーター:林 祥子

会期 2026年6月25日(木)〜7月15日(水)
開催時間 月〜金 10:00〜18:00|土曜 10:00〜17:00
休館日:日曜、7月3日(金)、7月4日(土)
場所 The Nippon Gallery(日本クラブ 5階)
604 Fifth Avenue, New York, NY 10020
入館料 無料
詳細 お問い合わせ:gallery@nipponclub.org

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