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イベント詳細

内田義雄(ジャーナリスト) 講演会
「武士の娘」 杉本鉞子の世界と魅力

講演会
03 / 15 / 16
  • 去年夏,NHKの衛星報道で「武士の娘・鉞子とフローレンス〜奇跡のベストセラーを生んだ日米の絆〜」を放送して以来、ちくま文庫『武士の娘』(大岩美代訳)が急激に売れ行きを伸ばしている。既に3万部が増刷されたという。多くの人たちがまさに”奇跡のベストセラー”『武士の娘』そのものを読もうとしており嬉しくなった。
     
    杉本鉞子の『武士の娘』には日本人が今もっとも大切にしたいメッセージが込められている。何百年もかけて培われた日本人の優しさや思いやり、自らを律する「制御の精神」(spirit of control) が書かれていて、それが文化の異なる世界の人々に感動を与えた。『武士の娘』(A Daughter of the Samurai) は1925年(大正14年)ニューヨークで出版されたが、当時鉞子はコロンビア大学で「日本の歴史と文化」を教えていた。彼女が一番懸念していたのは、明治国家の急激な「近代化」や「西洋化」であった。その過程で日本人はなにか大事なことを忘れたのではないか、と鉞子は疑問を抱いていた。明治には「悪いのはすべて封建制の江戸時代だった」とする風潮があった。しかし日本人のモラルの基本とされる「武士道」は江戸時代に培われた道徳の規範である。明治になって生れたものではない。鉞子自身も「世界で最も封建的といわれる日本のサムライの娘の物語です」と記している。
     
    武士道のモラルが明治の政治家や軍人の中で生きていたのは日露戦争のころまでだったといわれる。新たに生れたのは成金の日本人たちである。「武士道」のモラルはその後、昭和の軍国主義化と共に失われていったのではないだろうか。
     
    私は撮影の為に鉞子が10年以上住んでいたオハイオ州シンシナティの郊外カレッジヒルを再訪して、改めて驚いた。地元のアメリカ人たちが鉞子のことをよく覚えているのである。鉞子が100年前に友人たちにプレゼントした銀杏の苗が育ち、あちこちに空高く繁っていて、「これは鉞子がプレゼントしてくれた銀杏の木です」と口々に話してくれた。まちの歴史研究家が写真や手紙など史料を集めていて、『武士の娘』杉本鉞子の業績を語り継いでいる。鉞子自筆の手紙の一つは、20章「となりびと」で登場する将軍の孫娘に宛てた心温まるものだった。
     
    鉞子は今もなおアメリカ人や日本人に記憶され、心に響くものがあるようだ。それはなぜなのだろうか。あらためて『武士の娘』杉本鉞子の世界と魅力を話してみたい。
     
    内田義雄氏(ジャーナリスト)・略歴
    新潟県長岡市生れ。東京大学文学部西洋史学科卒業後、NHK入社。報道局外信部ディレクター、主に国際報道番組の企画制作。サイゴン、ニューヨーク特派員。スペシャル番組エグゼクティヴ・プロデューサー等歴任。主なテレビ番組『アラブの世界』『ニューヨーク危機』。主な著作『聖地ソロフキの悲劇』(NHK出版)『戦争指揮官リンカーン』(文春新書)『鉞子・世界を魅了した武士の娘の生涯』(講談社)。現在、フリー・ジャーナリスト。
     
    日時:3月15日(火) 12:30pm – 2:00pm (開場 11:30am)
    場所:日本クラブ2階ローズルーム
    料金:会員$35/ゲスト$40(昼食付き)
     
    スケジュール
    11:30 am 開場・受付開始
    12:00 pm 昼食(お弁当)
    12:30 pm 内田氏ご講演
    1:45 pm 質疑応答
    2:00 pm 終了
     
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